

ユーフォルビア ボンゴラベンシス(Euphorbia bongolavensis)をご紹介します。
ボンゴラベンシスはその名の通り、マダガスカルの北西部ボンゴラヴァ森林回廊(Bongolava Forest Corridor)周辺に生息しています。1993年にドイツの植物学者Werner Rauh氏によって記載されました。


熱帯乾燥林と呼ばれる地域です。雨季には大量の雨が降りますが、乾季になると一転、一滴も降らない期間が続きます。
ボンゴラベンシスは高さ1m程にしかならないので、このような林の中でひっそりと生えているのでしょう。
現在個体群は2つのみ確認されており、IUCNレッドリストではendangered(絶滅危惧種)に指定されています。

このユーフォルビアの面白いところは、やはりその枝ぶりでしょう。
主となる幹が伸び、その頂点から枝を四方八方に伸ばします。枝はある程度伸びると、その先からまた枝を伸ばします。
若い株は比較的上方に向かって真っすぐ枝を伸ばしますが、成熟した株になると横に広がるように枝を伸ばすようになります。
枝の分岐点や花の形態はE.ヘディオトイデス(E.hedyotoides)と非常に類似しており、また葉はE.ウンブラクリフォルミス(E.umbraculiformis n.n.) に近いと思います。
しかしながらこの2つの種とは頂点からのみ枝を伸ばすという点で決定的に異なります。


また、Rauh氏は記載論文の中で、樹皮の脱落のし方が特殊だと言及しています。成長に伴い表皮がめくれ落ちますが、筒状になって剥がれます。Rauh氏は「リングのよう」と表現しています。
これは本種と、同じくマダガスカルに自生するE.プラギアンサ(E.plagiantha)にのみ見られる特徴であるそうです。
また、古くなった枝は完全に乾燥し、幹に跡を残しつつ脱落していきます。これはE.アローディー(E. alluaudii)と同等の性質です。
このようにボンゴラベンシスは、他のマダガスカルのユーフォルビアと共通点をたくさん持ちつつ、独自の形態を持つ種なのです。



視覚的にも非常に楽しめる種で上からの眺めは絶景です。艶やかな緑と鮮やかな桃色が放射状に広がります。
実生している株を観察していると、葉の形が丸っこいものとやや尖がっているものがあり、よく見れば個体差も楽しめるかもしれません。

雄花は後日写真追加します。
雌雄異株のため採種するには、雌株・雄株を揃える必要があります。
休眠明け後から開花を始めます。
【学名】
Euphorbia bongolavensis Rauh, 1993
【記載情報】
記載者:Werner Rauh
原記載書籍:Kakteen und andere Sukkulenten 44巻4号 70ページ
【生息地】
マダガスカル 北西部 Bongolava Forest Corridor周辺
【栽培環境】

自生地は最高気温は37℃、最低気温は15℃、年間通して安定して温暖な気候です。乾季と雨季がハッキリとしており、月間200mm近くの月もあれば、1mmでほぼ降らないような月が数ヶ月続くこともあります。雨季は熱帯地域と言っていい程湿潤な気候となります。
夏場の管理としては、鉢内が乾けばすぐ水をやる・雨ざらしなどで良いかと思います。私も基本的には雨ざらしにしています。強い光はあまり好まないようですので、夏場の直射日光は避けた方が無難です。木漏れ日が当たるような場所に置いたり30%程の遮光をしてください。
冬場はほぼ完全断水で良いですが、株が小さいうちは内部に貯められる水分量が少ないので、表面を軽く湿らせる程度の水やりを月イチぐらいで行うとよいでしょう。最低10℃はキープすると安心ですが5℃あれば冬越しは可能です。
【繁殖方法】
挿し木での繁殖が可能ですが、成功率は高くありません。
成長している枝を鋭利な刃物で切り取り、切り口を乾燥させず用土に挿し、少量の水やりを継続します。腰水でも良いかもしれません。
雌雄別株のため交配するにはそれぞれの株が必要です。乾季を抜けた3~4月葉を展開する直前から開花を始めます。非常に花が小さいので見逃さないようにしましょう。
【Note】
Googleで「Bongolava」で検索するとマダガスカル中部のBongolavaがヒットしますが、自生地はここではありませんのでご注意を。「Bongolava」という地名?呼び名はここだけでなく数か所あるようです。
園芸では斑入りのものがあります。
白緑が入り混じる葉にピンク色も合わさり、非常に綺麗な株でした。

