書籍紹介:REVUE SUCCULENTES, ANNÉE 2007 SPÉCIAL 2007, EUPHORBES DE MADAGASCAR
REVUE SUCCULENTES, ANNÉE 2007
SPÉCIAL 2007, EUPHORBES DE MADAGASCAR
著者: Norbert Rebmann
出版元:AIAPS
発行年:2007年
この書籍は2008年まで存在したモナコの多肉植物協会AIAPSが発行したものだ。AIAPSでは年に4回の定期的ジャーナル、そしてそれプラス特集ということで年1回スペシャル号が発行されていた。
今回紹介する書籍は2007年のスペシャル号という位置づけだ。
著者:Norbert Rebmann
著者のNorbart Rebmann氏は1948年生まれ、2022年時点で御年74歳、フランスの植物学者。
名前を検索しただけでは彼のことを知ることが出来ないので、こちらに記しておく。
UPEC(パリ・エスト・クレテイユ大学)の名誉教授
SNHF(フランス国立園芸協会)の「サボテンと多肉植物」部門の会長
AJEM(モナコ・エキゾチック・ガーデン友の会)の事務局長
これらを務め、Order of Agricultural Merit(農業功労賞)を授与されている。
マダガスカルの植物相を研究し、新種を探すためこれまでに16回にわたってマダガスカルに赴き、2つの種が彼に捧げられ、彼自身も約30種を記述している。
献名されたAloe rebmanniiは日本の愛好家の間でも栽培されている種だろう。
彼が記述した種は珍しいものばかりで、残念ながら日本の流通で見ることはほぼないと思われる。
Aloe acutissima subsp. itampolensisは所持しているので、いつか苗をリリースしたいと思う。
Rebmann氏が記載した種一覧
- Aeonium escobarii
- Aloe acutissima subsp. itampolensis
- Aloe ansoultae
- Aloe arneodoi
- Aloe × aubaredensis
- Aloe deltoideodonta subsp. amboahangyensis
- Aloe deltoideodonta subsp. brevifolia
- Aloe deltoideodonta subsp. candicans
- Aloe deltoideodonta subsp. esomonyensis
- Aloe deltoideodonta subsp. fallax
- Aloe edouardii
- Aloe estevei
- Aloe fontainei
- Aloe graniticola
- Aloe richaudii
- Euphorbia ambatomenahensis
- Euphorbia ambonaivoensis
- Euphorbia ambovombensis var. ambatomenahensis
- Euphorbia beuginii
- Euphorbia emilienneae
- Euphorbia helenae
- Euphorbia maromokotrensis
- Euphorbia marotsipoyana
- Euphorbia milii subsp. breonii
- Euphorbia nicaisei
- Kalanchoe berevoensis
- Kalanchoe maromokotrensis
- Mammillaria geminata subsp. beiselii
- Mammillaria geminata subsp. collinsii
- Mammillaria geminata subsp. nejapensis
掲載内容
さて、今回この書籍を購入した理由は、マダガスカルのユーフォルビアについて調べ始めると必ずこの書籍の名を目にするからだ。
Plants of the World Online(以下、POWO)はキューガーデンが運営しており、分類学の見地から最新の植物のデータが掲載されている。ここにアクセスすれば、最新の学名や原記載などを知ることが出来る。詳しいものではその種の特徴が掲載されているものもある。特定の種について詳しく知りたくなった時にまず一番にアクセスするサイトといっても過言ではない。
さて試しにマダガスカルのユーフォルビア E.tulearensisをPOWOで検索すると、Bibliographyの欄に今回の書籍の名称が出てくる。
“Accepted by”ということはこの書籍でなんらかの分類学的な説明がなされ、これにより種として分類されていることを示している。わかりやすく言い換えれば、この書籍を読めばその種の特徴がわかり、他の(似ている)種と何が違うのかわかるということだ。
tresで種の紹介ページを作成するに当たり、上記の事柄は非常に重要な情報源となる。
この書籍は喉から手が出るほど欲しかったのだ。
実際の掲載内容は下写真のような感じである。
自生地の写真に加え、それぞれの種の特徴が淡々と掲載されている。
が、この特徴の記載が貴重で重要なものなのだ。
E.milliの変種の分類などもほぼ網羅されており、これを読めば特定することも難しくない。
フランス語で書かれているので読むのがちょいと面倒だが、DeepLなど翻訳ツールも進化しているので充分読める。
2007年時点の情報なので、E.boiteauiとE.decaryiの修正などは反映されていないので最新の情報は別で補う必要があるが、まぁ充分である。
購入先
AIAPS自体は2008年に解散してしまったが、実はこの書籍、フランスにあるKuentzというナーサリーで現在も販売されている。
しかし、発送先はEU圏に限られている。
私自身この書籍を探しKuentzに辿り着いたのはいいものの、オンラインショップのカートではEUの国しか選択できない。問い合わせメールは全て無視。掲示板にコメントを残すも削除されてしまった。(極めて紳士的に書いたつもり)
ということでEU圏しか相手にしないということなのでしょう。
今回はフランス在住の知人を頼り、そちらを経由し日本に送って頂いた。
EUでの受け取りや経由が出来ないとこの書籍を手に入れることは難しいと思う。
手にする機会はかなり限られているので十数冊輸入してみた。興味ある方がいらっしゃれば是非。
上記理由により送料や手間がかかっているのでKuentzと同じ値段とはいきませんが。。。
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