Euphorbia weberbaueri


角ばった幹を持つ棒状ユーフォルビア、ユーフォルビア ウェベルバウエリ(Euphorbia weberbaueri)をご紹介します。

ウェベルバウエリはペルーとエクアドルに分布しており、分岐を繰り返しながら低木のような姿を形成します。
成長期には太さ5〜8mm、断面はやや楕円の枝を直立させます。枝には節が見られ、その間を筋のような隆起が縦に3本走っています。新枝には長さ1.5cm、幅1mmの小さな葉を付けますがすぐに脱落します。


タイプ標本


栽培で最も楽しめるのはやはり新しい枝を伸ばす瞬間です。柔らかで鮮やかな緑枝が、やや頭を垂らした状態からしゃんと立ち上がり硬化していく様は非常に愛らしく感じられます。
成長とともにゆっくりと主幹が太くなっており、後述しますが、鉢の大きささえ確保できれば、自生地のような低木のような見た目にすることも可能だと思われます。

ウェベルバウエリの原産地は、南米のペルー北部からエクアドル南部の一部に分布しています。
ペルーは3つの地域に分けられます。
・沿岸部に広がる砂漠地帯コスタ
・アンデス山脈の高原地帯シエラ
・アマゾン川流域の熱帯地域セルバ
ウェベルバウエリが生息しているのは主に高原地帯シエラです。(右図の茶色部分)



タイプ標本採取地はカハマルカCajamarcaとありますが、
この種が報告された文献「Repertorium specierum novarum regni vegetabilis 29巻 (1931)」を読むと、標高900mで見つかったと表記がありました。
カハマルカの街自体は2,750mもの標高を誇り、かのマチュピチュよりも高いのです。
標高900mと2,750mでは環境がかなり違うと思うがどうだろうか、と気になり、カハマルカ周辺の標高断面図を調べてみました。

Repertorium specierum novarum regni vegetabilis 29巻 (1931)

海岸から少しいくと一気に標高が高くなっていることがわかります。(下写真右のグラフ)
1,500mや2,000mが当たり前の中、ほんの少し900mぐらいのところが見つかりました。
そしてその先4,000m級の山を超えるとまたわずかに900m程の場所が見つかります。
GBIFのレコードとこの2箇所はピッタリ合致するのです。
想像するにウェベルバウエリはこのわずかな1,000mくらいの山間で、山の斜面に沿って出来る霧の中を生きているのではないでしょうか。

自生地に想いを馳せましたが、栽培環境下では至って強健な種です。
真夏はあまり元気がないようなので軽めの遮光をしてやっていますが、それ以外の季節は気が向けば水やりをしてやる程度で枯らすことはありません。
冬も夜間0℃以下になる場合は室内に取り込んだりするが、基本は屋外放置にしています。
ただし、成長する期間は春先や秋口に限られ、小さい鉢であれば大きく育つことはありません。自生地のような多分岐の大株にするにはスペースと根気が必要だと思われます。

ウェベルバウエリという名前はあまり馴染みがありませんが、ペルーの植物体系を築き上げたドイツの植物学者Augusto Weberbauerの名より命名されたものです。
実はペルーを自生地とする種には、Weberbauer氏の名から献名されているものが数多くあります。
その最もたるものとして、ペルー北部に固有のサボテン:Weberbauerocereus属や、アブラナ科高山植物:Weberbauera属が挙げられます。種小名を超え属のひとつにまで献名されているのです。
さればWeberbauer氏の名を関するこのユーフォルビアはペルーを代表するユーフォルビアと呼んで差し支えないのではないではないでしょうか。

Augusto Weberbauer
( 1871 – 1948 )

【学名】
Euphorbia weberbaueri Mansf. ,1931
【生息地】
ペルー、エクアドル 山間部
【栽培環境】
真夏は20%~30%の遮光を行い、それ以外の季節はよく日の当たる場所で管理してください。
初夏や秋口の急な強光で焼けやすいので注意してください。
自生地は年間通して温度変化は少なく、最高気温25℃、最低気温5℃近辺です。寒さにはある程度強く、夏場は断水気味で管理が適していると思われます。
【繁殖方法】
開花~交配~採種については確認でき次第追記します。
挿し木が容易にできます。よく研いだ刃物で動きのある枝をカットし、すぐに土に挿します。切り口を乾燥させる必要はありません。植え込み後はしっかりと水やりを行います。その後は土が乾燥したら少量の水やり継続します。


【Note】
近縁種にブラジルに生息するユーフォルビア フォスフォレア(Euphorbia phosphorea)が挙げられます。
容姿はウェベルバウエリに非常に似通っており、その違いは花で確認できるようです。文献ではフォスフォレアは内側の腺に2本の角のようなものがあるとのこと。確認でき次第比較写真を追加します。

実は私が初めて手にしたユーフォルビアで、この種をきっかけに深い沼に足を踏み入れることになりました。個人的に非常に思い入れ深い種です。

マラニョン川 この斜面に生息しているかもしれない